予備試験は、大変難易度の高い試験です。多くの受験生が数年をかけて準備し、それでもなかなか合格ラインを越えることができないのが現状です。特に社会人として受験を考える場合、日常の仕事や家庭の責任との両立、そして限られた時間の中での学習という課題が待ち受けています。
このような背景の中で、成功への鍵となるのが「スケジュール管理」の重要性です。ただ漠然と勉強を進めるのではなく、計画的に、そして効率的に学習を進めることで、限られた時間の中でも最大限の成果を上げることが可能となります。この記事では、社会人受験生が予備試験に合格するための勉強スケジュールの作成方法とその例を紹介していきます。
社会人受験生の時間的制約
社会人としての生活は、学生時代とは異なり、多くの時間的制約が伴います。これは、予備試験の勉強を進める上での大きな障壁となることが多いです。
職場の要求
予備試験受験と仕事の両立はなかなかの困難を伴います。多くの企業や職場では、定時を過ぎても仕事が続くことが日常茶飯事です。また、突発的な業務や出張、残業など、予期しない仕事の要求が、受験勉強の時間を奪うことも少なくありません。
家庭の責任
結婚や子育てをしている社会人受験生にとって、家庭は勉強と同じくらい、あるいはそれ以上に時間と労力を要求される大切な存在です。子どもの世話や家事、家族とのコミュニケーションなど、家庭の責任は多岐にわたります。
社会人特有の時間的制約とその影響
上記のような要因により、社会人受験生は学生時代と比べて勉強に割ける時間が大幅に少なくなります。この時間的制約は、勉強の進捗やモチベーションにも影響を及ぼすことが多いです。特に、継続的な学習が求められる予備試験の勉強において、この制約は大きな障壁となり得ます。
基本的な勉強スケジュールの作成方法
予備試験は、手あたり次第に盲目的に努力して受かるような試験ではありません。勉強スケジュールを立て、いつまでに何をやり、もし予定が狂えば都度調整して見直しを図りながら進めていく必要があります。
特に、時間的制約がある社会人受験生にとって、効率的に合格までのスケジュール作成をすることは、必須です。以下は、基本的な勉強スケジュールの作成方法を紹介します。
目標設定とその分解
まず、大きな目標を設定します。例えば、「3年後の予備試験に合格する」という目標を立てた場合、それを月ごと、週ごと、日ごとの小さな目標に分解していきます。この分解により、具体的な学習内容や進捗が見える化され、モチベーションの維持にもつながります。
優先順位のつけ方
全ての科目や内容を同時に学習するのは難しいです。そこで、自分の弱点や試験の出題傾向を考慮して、学習の優先順位をつけます。例えば、得意な科目は週1回の復習にとどめ、苦手な科目には毎日の学習時間を確保するなど、効果的な時間配分を心がけます。
進捗のチェックと調整
設定したスケジュール通りに学習を進めることは理想ですが、現実には予期しない事情や急な仕事、体調不良などで計画が狂うことも。定期的に進捗をチェックし、必要に応じてスケジュールを調整することが大切です。また、進捗のチェックを通じて、自分の学習の強みや課題も明確になります。
最短合格スケジュール例
まずは年間の流れと本試験タイミングに合わせた大きなスケジュールを立てましょう。
| 時期 | タイミング | やるべき事 | ポイント |
|---|---|---|---|
| 開始月～12月 | 学習開始して年内まで | ・基礎知識のインプット（予備校のパッケージの基礎講座に該当する部分） ・論文試験の導入は済ませる（書き方や答案の作成方法を知る、実際に答案を書いてみる所までやっておきたい） | 基礎知識のインプット、全科目の1周目を即終わらせること。早くアウトプットに移ることを目指す |
| 1月 | 年明けから短答式に向けて | ・論文のトレーニング期間（過去問演習） ・短答の過去問演習 | 余裕をもって論文のトレーニングに集中できるのはこの期間しかない（もっと進むと短答知識の詰め込みに追われることになる為） |
| 2月 | |||
| 3月 | |||
| 4月 | |||
| 5月 | 短答直前期間 | ・フルスロットルで短答の過去問演習をぶんまわす。短答用知識の詰め込み。 ・論文の勉強もときどき挟む | 予備校の答練を利用し、自分が書いた論文アウトプットの客観的評価を知ること |
| 6月 | |||
| 7月（短答式） | |||
| 8月 | 論文直前期間 | ・論文総復習 ・答練や公開模試を受ける | 時間を図り、論文本番を意識した練習。 |
| 9月（論文式） | |||
| 10月 | 口述直前期間 | ・口述模試を受ける ・実務系・法曹倫理系の知識を入れる ・司法試験の論文式の学習を始める | 口述対策は予備校の力を存分に利用する（予備校の実績にもなるため講師は結構力を貸してくれる）。来年の司法試験の論文式の対策を同時に行っていくのが重要 |
| 11月 | |||
| 12月 | |||
| 1月（口述式） |
ここから各月ごと・1週間ごとのプランや小目標を立てて、分解してスケジュールを詳細に作成していきます。
実際の社会人受験生からのアドバイス
予備試験の勉強は、社会人としての多忙な日常の中での挑戦となります。そんな中、実際に合格を果たした社会人受験生たちからのアドバイスや学習方法を紹介します。
勉強スケジュールの実例紹介
仕事後の2時間と、週末の10時間を固定で学習時間として確保。科目ごとに週のテーマを決め、その範囲内で学習を進めていました。
フレキシブルな時間を活かし、午前中の3時間を学習のピークタイムとして設定。午後は仕事や他のタスクに取り組むスタイルでした。フリーランスなので仕事を自分でコントロールし、試験が近くなったら仕事量を減らしていくなど細かく調整をして、両立を図りました。
仕事の休憩時間や昼休みを利用して、毎日4時間の学習を心がけていました。
仕事と両立しながら時間を捻出するのはかなり大変でしたが、公務員なので、ある程度規則正しい働き方（残業や早出がほぼない）であり、スケジュール通りに進められたのが幸いでした。
夜勤の後や休日を中心に、一日4～6時間の集中学習をしていました。細切れで学習するよりも、まとまった時間を何とか作って短期集中する方法が自分には合っていました。
合格者は上手に予備校を活用している
社会人をしながらの挑戦は難しかったが、予備校のオンライン講座を活用して効率的に学習。毎日コンスタントに淡々と学習を続けたことが合格の鍵だったと感じています。
過去問を中心に学習を進め、分からない箇所は自分で無駄に悩まずすぐに予備校の講師に質問をして、不明点や弱点をピンポイントで補強していました。
各人のライフスタイルや状況に合わせて、最適な学習方法を見つけることが重要です。多くの社会人で合格した受験生の話を聞くと、とことん無駄を省いて効率化をし、お金をかけて予備校を上手く使い、時間を作っていたことが分かります。
計画的に合格へアプローチしよう
学生時代の感覚で、労力をすべてつぎ込み「根性」でやり切る！といったイメージで取り組んで合格した社会人はいません。合格した方は、冷静に計画的に結果が出るようなアプローチを現実との折り合いをつけながら、コツコツとこなしてきた人ばかりです。
持続的な努力はもちろんのことですが、自身のライフスタイルや状況の変化に柔軟に対応する能力も必要とされます。社会人としての多忙な日常の中で、予期せぬ出来事や変化もきっとあるでしょう。どんな時でも柔軟にスケジュールを調整し、淡々と学習を継続することが大切です。
