予備試験・司法試験は、法律家に憧れる多くの人が目指す超難関試験です。簡単にパスしてしまう天才もいれば、何年かかっても受からずに人生を台無しにしてしまう人さえいます。
試験範囲が広く、特に論文試験は思考力や現場で考えて結論を導く高度な力が求められます。どれだけ準備しても問題に裏切られ、受からない人が出てくる魔の試験です。
努力を十分にする前に向いていないと判断するのはいかがなものかとは思いますが、真剣に取り組んだ上で向いていなければ撤退することも検討する必要があります。人生の時間をムダにしないためにも。
司法試験の難易度とその挑戦の重さ
司法試験は、広範な法律知識を要求されるだけでなく、論述問題や予備試験であればさらに口述試験など、多岐にわたる試験形式に対応する必要があります。
また、試験の合格率は非常に低く、多くの受験生が何度も挑戦を重ねる中で、その難しさを痛感しています。
このような状況下で、受験生は長期間にわたる勉強と、それに伴う生活の制約や精神的なストレスと向き合わざるを得ません。
中断や再開の選択が必要となる背景
多くの受験生は、司法試験への挑戦を続ける中で、さまざまな理由から中断や再開の選択を迫られることがあります。健康上の問題、家族や仕事の状況の変化、または試験への熱意の低下など、様々な背景が考えられます。
このような選択は、受験生それぞれの人生や価値観、状況に深く影響されるものであり、決して簡単なものではありません。
中断を選択する背景
司法試験への挑戦は、多くの受験生にとって人生の中での大きな試練の一つとなります。
その過程で、様々な理由から中断を選択する受験生も少なくありません。以下は、中断を選択する主な背景をいくつか紹介します。
精神的・身体的な健康問題
長時間の勉強や試験へのプレッシャーは、受験生の精神的・身体的な健康に大きな影響を及ぼすことがあります。
過度なストレスや不規則な生活は、うつ症状や体調不良を引き起こすことがあり、これが中断の直接的な理由となることも少なくありません。
家族やキャリアの変化
司法試験の勉強は、受験生の日常生活やキャリアにも大きな影響を与えます。
家族の事情や仕事の変化、新たなキャリアのチャンスなど、様々な外部の要因が受験生の選択を左右することがあります。
試験への熱意の低下や方向性の見失い
初めは強い意志を持って司法試験の勉強を始めたものの、時間が経つにつれてその熱意が低下することがあります。また、何度もの挑戦と失敗を経験することで、自身の方向性や目的を見失い、中断を選択せざるを得なくなる受験生もいます。
どれだけ勉強して、何回も受験して、それでも不合格となったとき、受験生が受けるメンタルへの影響はかなり大きなものになります。相当な悪影響を受けます。
自信と希望は砕け果て、自己肯定感など地の底まで落ちて皆無です。予備試験・司法試験の不合格によってもたらされる絶望を舐めてはいけないのです。
最悪の場合、その絶望は人生全体への絶望へ変わってしまうのです。
そういった心の変化から、受験の継続が困難になることもしばしばあります。
中断・再開した受験生
何度落ちても予備試験・司法試験の挑戦を続ける方も多くいる中、中断を選択する方もいます。その背後には、様々な理由や状況が存在します。
――3回目の予備試験で不合格になったとき、中断を決意されたとのことですが、具体的にはどのような背景がありましたか?
受験生
家族の健康問題が急に生じたことと、仕事のプレッシャーが増してきたことが大きな理由です。それに、自分の中で挑戦の限界を感じていました。3年間、サボりながら勉強していたわけではありません。本当に自分としての全力で挑みました。それでも不合格だった時、心のエネルギーといいますか、活力が完全にゼロになってしまったんです。
――中断期間中は、どのような生活を送られましたか?
受験生
中断後は一度、法律の世界から離れてみました。私はITエンジニアなのですが、業務に関連する情報系の学習に取り組み、IT業界でのキャリアの追求をし、新しい趣味や関心を見つけることができました。やはりこのまま現職で頑張っていこうか…と迷う気持ちと、心の奥底にある予備試験への思いとの間で葛藤する時期が続いていました。
全然違う業界のことを勉強していれば、気がまぎれると思っていたのですが、実際にはそんなことはなく、頭の中から全く予備試験・司法試験のことが離れませんでした。
――再び予備試験を受けることを決意されたのは、どのようなきっかけでしたか?
受験生
恥ずかしながら、当初は格好よくサクっと合格してやろうと思っていて、自分の能力の証明がしたかったというか…。だけどそんなんでは全く太刀打ち出来ない試験だと…自分は骨の髄まで甘かったんだと、挑戦してみてやっと理解しました。本当に幼稚で恥ずかしいですね。中断期間に落ち着いて冷静に内省したことで、自分の本心に向き合うことができました。
カッコ悪くて恥ずかしくてもいいから、どうしても合格したいと思ってしまいました。仕事が落ち着いたことがきっかけで、2年ぶりに学習を再開したところです。ただ、自分の能力の限界も感じているので、あと1年だけ、後悔しないようにやり尽くして、それでもダメだったら潔く撤退しようと考えています。
予備試験・司法試験の中断・再開の選択から学ぶこと
予備試験への挑戦は、多くの受験生にとって大きな試練となります。その中で、中断や再開の選択を迫られることも少なくありません。学ぶ中で苦しくなったら、考えて欲しい視点をいくつか挙げます。
自分自身の健康や幸福を最優先する重要性
予備試験の挑戦は重要ですが、それ以上に大切なのは自分自身の健康や幸福です。
長時間の勉強やプレッシャーが健康を害する場合、中断や再開の選択は自身の健康を守るための重要なステップとなります。
自分のメンタルが参ってしまっては、元も子もありません。
挑戦の途中での方向転換も一つの選択肢であること
中断や再開は、挑戦の途中での方向転換として捉えることができます。
すべての受験生が同じ道を歩む必要はありません。自分自身の状況や価値観に合わせて、最適な選択をすることが大切です。
予備試験の学習に比べたら、世の中の試験はほとんどが簡単なはずです。現職の業務・業界に関連する資格を取得してみるなど、身につけた学習スキルを別の方向に活かせることがあるかもしれません。
また、撤退も勇気ある決断の一つです。
再開の際の新たな視点やアプローチの価値
中断期間中に得た新しい視点や経験は、再開時の予備試験へのアプローチに大きな価値をもたらします。過去の失敗や挑戦から学び、新たな方法や視点での挑戦は、成功への一歩となるはずです。
中断・再開の選択は、それぞれの受験生の状況や背景によって異なります。
しかし、どの選択にせよ、その背後には大切な学びや気づきがありますので、現状を受け入れて、前向きに人生を進めていきましょう。
司法試験に不合格だったからって、人生が終わるわけではありません。