答案用紙にボールペンで文字を書き殴る…
予備校の模試では採点者に「汚くて読めない」と何度注意されたことでしょう。いよいよ司法試験・予備試験の論文式でパソコン受験が2026年度から開始されることになりました。
世間の試験ではどんどんCBT方式の受験形式に変更されて行っているのに、いまだに司法試験だけは”伝統的な”方式で、紙とペンを使って一生懸命書かされる謎の試験スタイルでした。
ついに社会の変化に応じて、パソコンで論文を入力して回答する形式に変更されることが発表されました。
現時点で分かっていること、懸念点をまとめておきました。実際に施行されるのは、まだ数年後の話になりますので、自身の受験予定年に被りそうな方はご確認ください。
法務省が26年度の司法試験からデジタル化(パソコンCBT受験)を検討していると報道
現時点(2023年9月)で分かっていることは下記です。
2026年の司法試験から導入(予備試験にも導入されるが開始時期は不明)
試験会場に用意されたパソコンを使うCBT形式(自宅で受験するわけではない)
用意されたパソコンはインターネットにつながらない仕様
2025年から出願手続をオンライン化、受験料支払いをキャッシュレスに対応
論文試験を手書きで行う従来の形式は、受験生はもちろん、考査委員(採点者)、運営者の全方面にとって負担が大きすぎる形式でした。ようやく変化するとあって、受験しやすくなったことは嬉しいですね。
具体的にどう運用するか等はまだ決まっていない。これから調査・研究を進めていくとのこと。
3~4万文字の手書き論文試験
司法試験は全部で4日間、1日は短答式なので残りの3日間が論文式試験です。怒涛の勢いで書き続け、文字数は受験生1人あたり3~4万文字程度になります。これを手書きで書いていました。
国の最難関試験に位置づけられている試験がこんな形式のまま、ここまで変化が遅れていたことには、少し驚いてしまいます。(参考:アメリカ等の司法試験はとっくの昔にパソコン受験になっています)
そしてこれを読まされる考査委員(採点官)も大変です。どのみち受験生はみんな焦っているので文字も汚いです。試験の終盤の方に書いた文字なんて、排水溝に絡まった髪の毛みたいな草書体です。
また、運営者も大変です。答案用紙には受験者氏名や受験番号が書かれています。考査委員と受験生との間で不正があってはいけないので、誰の答案か分からない状態で採点がされます。そのために答案用紙の個人情報をマスキングする必要があるのですが(実際どんなやり方をしているのかまでは知りませんが)これも運営側に面倒な手間がかかっています。
さらに、実務に出た後、書面はWordを使ってパソコンで作成されます。手書きで書面を作成することなどありえません。手書きで論文を書くことなど、何の役にも立っていないのが現実です。
懸念点など
現状、分かっていることは上記に記載していることだけで、具体的にどうなるのかまではまだ分かっていません。が、少なくとも確定でパソコンで大量に文字を打つことに慣れておく必要があります。
さすがにパソコン使えないレベルの人は司法試験の受験者にはいないかもしれませんが、苦手という方が中にはいらっしゃると思います。若すぎるこれからの人材、今10代の方々はスマホで全部完結する世界で生きてきているので、パソコンを使うことに全く慣れていないかもしれません。
数年後を見据えて、論文はパソコンで書くようにする等、勉強方法を変えていく必要がありそうです。